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Mother's Day2024 エッセイ③



タイトル:月と私たちとアルバムと

執筆者:マーニ


🎙️朗読はこちら(朗読:minori)

「月と私たちとアルバムと」/マーニ

ファインダーをのぞく。


時折あどけない笑顔で振り返りながら公園の芝生をかけていく兄と弟の後ろ姿。

爽やかな空、織りなす光、やわらかな木漏れ日、輝く水面。

草花の香りを運ぶ風に、土や木の息吹を感じる。

木々のささやき、小鳥たちのさえずりが心地良い。


私の眼差しの先で、この命巡る世界に抱かれる息子たち。


いつものひとコマ。今この瞬間の愛おしいひとコマ。




ふと立ち止まる、息子たち。


同じ芝生でキャッチボールをする父親とその子どもを見つめている。


ひとり親である私は、努めて明るい声で2人を呼び、2倍の愛情を込めて全力でボールを投げる。


*****


つい最近までは、小学校と保育園へのお迎え後、3人で家路へついた。両手を繋ぎ、よく歌った『 ♪にじのむこうに』。絵本を読み終え、ほこほこ温め合うお布団では、オリジナル子守唄を口ずさんだ。


そんな息子たちも、この春からは2人とも小学生に。


「♪にじの向こうに」は、兄弟の元気な「ただいま!」と、私の「おかえりなさい」になった。絵本タイムの前にはもうグースー聞こえてくる寝顔へ、今夜も「うまれてきてくれて ありがとう」と囁く。


****


振り返ると、たくさんの不安や心細さを抱えていた数年前は、息子たちの安心した寝息と重みを両腕いっぱいに感じる幸せなひとときに、この瞬間が永遠に止まってほしいと願うこともあった。「このまま地球がポッとなくなったら...」とさえ思った。


そんな中、3人でなんとかやってきたという積み重ねは、少しずつ自分と息子たちへの信頼となった。毎日を全力で楽しんで生きる彼らの寝顔の隣で込み上げる私の願いは「この地球がいつまでも自然豊かで愛に溢れていますように」へと変わっている。


数年前までは、ふと見上げた空の優しく輝くお月様に、全てをわかってもらっているような気がして、息子たちの寝静まった夜にひとり、月に話しかけることもあった。果てしない星空を見上げ、不安も心細さもちっぽけだと思うことで、自分を奮い立たせていたのかもしれない。


気がつくと、少しずつ手が離れてきた息子たちとの食卓では会話が増え、おやすみ前に一緒に美しいお月様を眺めている。


ほんの小さな一歩ずつだけれど、また少し、私たちのペースで前に進んでいると気づく。


****


9年前の桜の季節、穏やかな澄んだ瞳で世界を見つめる長男の命を、そして、6年前の同じく桜の季節、温かく柔らかな手で世界を包む次男の命を、私はあずかった。


3人の暮らしも5年を迎えたこの春、私のファインダーの先には、桜の木の下で清らかな光に包まれ、この世界に歓迎されている息子たちがいる。


私が息子たちを見つめているように、息子たちもまた私を、そして互いに、兄を、弟を、見つめている。


****


ある絵本の言葉を思い出す。


「大切なのは 君が照らされていて 君が照らしているということなんだよ」


この世界が巡り巡っているように、緩やかに繋がり、明かりを灯し合い、分かち合いたい。


息子たちが見つめる私も、そんなひとりでありたい。


いつもの公園、いつもの光景の中で。


最近は仲間と楽しそうにドッジボールをする息子たち。


これまで私と手を繋ぎ歩んできた道、これから彼らが仲間と共に作っていく道。


私はこのゆるく繋がる2つの道の間に立ち、そこからまたファインダーをのぞく。


ここには、全身で喜びを感じている自然体の息子たちと、心ゆくまで幸せと感謝を想う私がいる。


言葉で表すことのできない"愛(まな)差し”を映す数々の瞬間。


このひとコマひとコマを、私たちが彩りと安らぎある世界に生きている証とするため、

写真と記憶に収めながら、また1ページと日々を綴っていく。


息子たちが新たな道を歩み始めるとき、あたたかく「おかえりなさい」と迎えられるアルバムになるようにと願いながら。



Mother's Dayキャンペーン2024ご寄付のお願い
最後までお読み頂きありがとうございました。このエッセイは、Mother's Dayキャンペーン2024のために、シングルマザーのマーニさんが執筆しました。NPO法人シングルマザーズシスターフッドは、シングルマザーの心とからだの健康とエンパワメントを支援する団体です。ご寄付は、「シングルマザーのセルフケア講座」の運営費として大切に使わせていただきます。ご寄付はこちらの寄付ページで受け付けております。

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1 Comment


Guest
Jun 01

マーニさんのエッセイ、とってもきらきらしてて素敵です! 息子さんがおとなになったとき、こんなふうに自分たちの事を見ていてくれたんだなって知ったら、きっとうれしいだろうなぁと思いました。

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