Mother's Day2022 エッセイ②
- こんにゃく
- 2022年5月9日
- 読了時間: 6分
更新日:3 日前

未知を楽しめる私に。
執筆者:こんにゃく
セルフケアがわからなくなっていた私
ひとり親の私は、健康でいなければ全てが回らない。子どもたちに対しても、もっと手をかけたいが時間に追われ、罪悪感に苛(さいな)まれる。仕事でも周りに頭を下げてばかりの日々で、家庭も仕事も綱渡り状態だ。自分のことは当然あとまわし。自分を大事にしたくてもどうやって大事にすればいいのか、次第にわからなくなっていった。
シングルマザーズシスターフッドに出会うまでは。
独りよがりな責任感
2017年、ずっと子ども好きだった私は、念願の母親になった。母親になったからには、母が私にしてくれたように子どもに尽くすのが当たり前だと思い込んでいた。海上勤務の元パートナーは不在がちで、見知らぬ地で孤独と戦いながら初めての育児をスタートした。託児付きの美容院に行っただけでも罪悪感を感じ、歯医者に行くためにファミリーサポートを頼むことすら躊躇した。ひとりで息抜きにカフェなんて発想すら出来なかった。今ならそんなに自分を追い込まなくてもいいのにと思うが、当時は「母親だから」と肩に力が入りすぎていた。過呼吸で救急車に乗ったこともある。その責任感はひとり親になり更に強くなっていた。
絶対に子どもたちを幸せにしたい。寂しい想いをさせたくない。可哀そうなんて言われたくない。そんな想いで必死で過ごしていたからだと思う。いま思えば、それは独りよがりな責任感だった、とも思う。
離婚とアンビバレントな葛藤
私は娘を妊娠中に1歳半の息子を連れて家を出た。出て行けと言われたというのもあるが、これ以上元パートナーと居るのは危険だと思ったからだ。時代遅れとも言える家父長制、男尊女卑の考えのある元パートナーは、「嫁」の尊厳を大切にすることは無かった。第2子が女の子とわかった時、これから生まれてくる娘の為にもその考えを改めて欲しいと話し合いの場を何度も持とうとしたが、最後まで聴いてもらうことは無かった。
子どもたちには子どもたち自身の手で好きな道を選ばせたかった。誰のものでもない。子どもたちの未来を守りたかった。
このように強い想いで家を出たはずなのに、ひとりで2人の子どもたちの人生を背負う重さに心は揺れていた。
父親がいない子にさせてしまったのかな?これからどうやって暮らしていけばいいんだろう?本当に育てていけるんだろうか?と毎日毎日悩んで泣いて過ごしていた。
そんな不安を掻き消す為に、「私なら出来る!大丈夫!」と毎日自分に語りかけ、その言葉を自信のない自分の心の拠り所にした。娘を無事元気に出産出来た時、心から安堵し、幸せで涙が溢れた。
同時に「宝物の子どもたちを絶対に幸せにするんだ!」と強く想い、ますます肩に力が入っていった。
本当の気持ちに気づかせてくれた存在とは
不安で揺らぐ時も多くあったが、強がって何でもないふりをしていた。両親にも友達にも職場にも迷惑をかけたくないと、当時は自分自身の気持ちに何重も蓋をして、元気なふりをした。離婚調停中なんて、ひとり親なんて公に出来ない。田舎ではネガティブな関心を引くのはあっという間。私だけでなく、子どもたちや両親に対してもネガティブな関心を向けられたくなかった。そう。こうしてまた、独りよがりな責任感を持った。
自分の本当の悲しさや辛さ、不安に自分自身が寄り添えなかったことで、周囲と距離を持つようになり、気持ちの壁を作るようになった。周りに人がいるのに強まる孤独。子どもたちに対しても、きっと不自然な笑顔を向けていたのだろう。幼い子どもたちは敏感で、夜泣きやおねしょが続き、イヤイヤも激しかった。
「もうダメだ…」ようやく自分の声が聴けたのはコロナ禍での保育園登園停止と在宅勤務が重なったある日だった。「もうダメだ、頑張れない」と急に涙が止まらなくなった。異変に気が付いたのもまた子どもたちだった。
「ママはぼくがまもる!」
何故その言葉を言ったのかはわからない。でもあんなに幸せにしよう、守ろうとしていた子どもたちに私は救われていることに気が付いた。わからないと思っていたけど、周りにいる誰よりも、私の追い詰められた状況を把握していたと思う。子どもたちには力がある。私が幸せにするのではなく、子どもたちは自分の力で幸せになる。きっとそうなる。
自分を取り戻すきっかけとなった出来事
少しだけ冷静になれた私は、キャリアカウンセラーさんに連絡。仕事と家庭の両立の仕方や、今抱えているモヤモヤの整理に付き合ってもらうことにした。その時カウンセラーさんから紹介してもらったのがシングルマザーズシスターフッドのひとり親TECHエンパワメントプログラムだった。
何か自分の現状を変えるきっかけになればと申し込みをすぐに決めた。
1回目から語られるセルフケアの大切さ。セルフケアって何だろう?そんなこと考えて良いのだろうかと思っていた私には衝撃だった。冬の寒さが凍みる早朝6:30、子どもたちを起こさないように玄関から参加した。
自己啓発のために時間を取るのは息子を出産後初めてで、4年ぶりだった。失われていた自分を思い出していった。大好きだった海外旅行、山登り、アジア料理。ああそうだったと考えるうちに、胸が熱くなり、今度は子どもたちと挑戦するのもいいなと、将来を想像しワクワクした気持ちが蘇ってきた。
自分らしさを取り戻した私のセルフケア法
今でも時々罪悪感と戦う時もあるし、落ち込む時もある。だけど、立ち直りがどんどん早くなっている。悲しい時は、悲しい!!辛いときは辛い!!と口にし自分自身の心と向き合うようにしているからだ。
そして、不安な時は何で不安なのだろうか?と不安要素をブレイクダウンしていく。その感情や不安の背後にある、自分が大切にしたいものはなんだろう?と自分に問う。とにかく気持ちをぐっと握りしめないで、手を開いて解放する。
それが今の私が実行しているセルフケアだ。
ひとり親の私の未来はどうなるかわからない。仕事、子育て、お金、住まいなど、考えなければいけないことは沢山ある。でも、わからないことを怖がるのではなく、今の私は未知はワクワクするものだと思える。これから子どもたちと私が決めていける選択肢が沢山あるということだから。
「ママはしょうらいなにになりたいの?」「笑顔の皺でいっぱいのおばあちゃん!」
いつでも子どもたちからの問いに真っ直ぐ答えられる自分でありたい。
Mother’s Dayキャンペーン2022ご寄付のお願い
最後までお読みいただき、ありがとうございました。このエッセイは、NPO法人シングルマザーズシスターフッドのMother's Dayキャンペーン2022のために、シングルマザーのこんにゃくさんが執筆しました。このキャンペーンは、自身の心と体を大切にすること、それを互いにサポートしあえる社会を目指して実施しています。ご共感くださった方はぜひ、私たちの取り組みを応援していただければ幸いです。
NPO法人シングルマザーズシスターフッドは、シングルマザーの心とからだの健康とエンパワメントを支援する団体です。ご寄付は、「シングルマザーのセルフケア講座」の運営費として大切に使わせていただきます。
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