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Mother's Day2021 エッセイ①

Mother's Day2021 エッセイ①胸に刻まれた娘のことば

胸に刻まれた娘のことば

執筆者:かわむら ひろみ



ある日、小学2年生だった娘に言われたひとこと。この言葉が今でも胸に刻まれていて、ずっとそこにある。


3年前、1歳の息子と5歳になったばかりの娘とアメリカから日本へ帰国した。身の回り品だけ持って帰ってきた。お金も、持ち物も、何もないところからのスタート。


働いていないと保育園を出されてしまう為、まずは就職先を探しながらコンビニでアルバイト。一緒のシフトに入った高校生に仕事を教えてもらいながらの、10年ぶりの仕事だった。コンビニで2か月間アルバイトを続けたあと、やっと社員としてある企業に就職が出来た。


ただ、就職できたから安泰なんて、甘い世界じゃなかった。小さい子どもがいるワーキングママたちには働きにくい環境が、まだそこには存在していた。どうしても休みがちになり、周りが新人である私の穴埋めをすることの繰り返し。それでも残った仕事は週末や残業で対応する。


1歳の息子は初めての保育園で毎日のように体調を崩し、職場にはお迎え依頼の電話が入る。入社直後の研修を受けている間にも何本も電話が入った。


ある日は、保育園の電話を受けながら涙が流れてきた。頑張りたいのに頑張れない。どうしたら良いのだろう・・・やっぱり勤務時間を短縮出来るアルバイトでしか働けないのかな・・・と、日々ネガティブになる。


それでも諦めずに履歴書は色々出していた。そんなある日、外資系の会社で採用されることが決まった。新しい環境はFamily first(家族第一)主義の職場になり、子どもたちのことで早退や欠勤することに気まずさや後ろめたさはなくなった。


1年が経過し、上司から昇進の話が来た。


とても光栄だったけれど、その仕事はとてもストレスフルだし、難しい内容になる。悩んだ。


そんなある日、子どもたちとのお風呂の時間に、娘に話した。

「ママね、新しい仕事やってみようか悩んでるんだ。大変な仕事だから、ママに出来るかなぁ」


そんな私に娘は、 「You are stronger than you know, mom! ママなら大丈夫!」

と言った。

大好きなプリンセスムービーのセリフらしい。その映画を観たことはなかったが、涙があふれる思いだった。帰国後、ずっと一人で誰にも理解もされず、受け入れてももらえず、走り続けるしかないと思っていた。


この娘の一言に、自分の間違いを気づかされた。


一番近くでずっと一緒に居たこの子こそ、1番の理解者であり、サポーターでもあったのだ。辛かったのは私だけじゃなかった。子どもたちの環境も大きく変化していたし、優しかったママは、新しい環境で余裕がなくなりいつもカリカリしている。この子たちだってとても辛かったはず。「ありがとう」と、「ごめんね」の言葉が入り混じった複雑な気持ちになった。 結局、上司に昇進の件はお断りした。今一番大切にしたいこと、それは経済面の更なる安定ではなく、子どもたちとしっかり向き合い一緒に笑うことがたくさんある生活。今の私たちならではのクオリティライフ。 娘が教えてくれたこと。

”You are stronger than you know.” 

私は自分が思っているよりももっと強いんだ。

だから、どんなことがあっても大丈夫。この子たちと共に強く生きていける!




Mother's Dayキャンペーン2021ご寄付のお願い
最後までお読みいただきありがとうございました。このエッセイは、Mother's Dayキャンペーン2021のために、シングルマザーのかわむら ひろみさんが執筆しました。このキャンペーンでは、ひとりとして同じ人はいない、個性あふれるシングルマザーたちのかけがえのない素顔を祝福し「自分を大切にすること」「セルフケアの大切さ」を呼びかけています。NPO法人シングルマザーズシスターフッドは、シングルマザーの心とからだの健康とエンパワメントを支援する団体です。共感し応援してくださる方は、はぜひ、ご寄付をお願いします。ご寄付は、「シングルマザーのセルフケア講座」の運営費として大切に使わせていただきます。


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